30 May 2021
あなたは「退院時リセット」という言葉は聞いた事はありますか?
質問しておいてですが…
これは仲間内で使っていた造語です。
私は理学療法士というリハビリを担当する資格を持っています。
病院のリハビリ室で働く職種の一つがこの理学療法士です。
私の場合は病院より訪問リハビリの仕事が長いのですが
この「退院時リセット」というのは退院した方が、
・病院と自宅の環境の違いでベッドから起き上がる事が大変になる
・移動が大変になり動かないで寝ている事が増える
・リハビリの機会が一気に少なくなる
などの理由でバッタリとリハビリをやらなくなることで退院後に身体状態が悪くなることをいいます。
訪問リハビリをしている頃は、こういった方が沢山いらっしゃいました。
入院中は
・午前1時間、午後1時間マンツーマンで理学療法士などのセラピストとリハビリを行い。
・病棟の廊下で、看護師さんの見守りや軽度介助のもと歩行練習をしたりします。
・ベッドは起き上がる動作やベッドから立ち上がる動作がしやすいように手すりを設置しています。
・廊下も広くフラットになっていて歩行器が使いやすく、手すりも壁伝いに設置しています。
そういったリハビリや運動の機会に恵まれた状態。動きやすいように設定された環境から自宅へ帰ると
・外来リハビリへ行けても週2回。1回あたり20分。
・訪問リハビリを利用したとしても、多くて週3回。1回あたり60分。
・通所リハビリやデイサービスセンターを利用する場合。
-介護度が重いと毎日利用する人もいます
-私が働いていたリハビリ型のデイサービスでは一週間あたり平均で1.8回のご利用だったと記憶しています。
-その中でリハビリをする時間は60分あるかないかの状態です。
-具体例として以前勤めていただデイサービスでは、個別の施術と機器を使った運動、集団体操など180分のうち実際にリハビリ関連の事をしている時間はトータル80分ほどです。
・家によって環境はまちまちですが
-ベッドを置ける場所が限られ、その位置関係上「起き上がりにくい」
-歩行器を使いたくても家具などの障害物が多くてスペースがない
などで
動く機会が激減し、退院時より状態が悪くなってしまう傾向にあります。
先日この「退院時リセット」状態になってしまった方がいらっしゃいました。
母親の美容室のお客様で、3か月前に転倒し大腿骨を骨折してしまったそうです。
退院して1週間ほどした時に美容室へ来店され
「リハビリの先生が驚くくらい回復したから、リハビリ病院へ入院しなくてよくなって、手術して1ヶ月くらいで退院できた」
と話されていました。
歩き様も、骨折前と変わらない状態で特に痛いところもないそうでした。
それからひと月ほどして来店した時には、
・手術した側の足に十分に体重がけられず
・足を振り出す際には引きずった状態になり
・「足が痛くなっちゃった」
ということで施術の依頼の連絡をもらいました。
まさに「退院時リセット」の状態でした。
退院した時点で、何らかの「リハビリを継続していたら」と悔やまれるところです。
たったひと月でこの状態になっても、退院した時の状態に戻るのはひと月では無理です。
もちろん入院中やっていた様に毎日午前・午後1時間ずつリハビリをすればひと月で戻る可能性はあります。
入院していないとこの様なことは現実的に難しいです。
でも、「リハビリを継続していたら」そもそもこういった状態に陥らずに済んでいたかもしれません。
これだけリハビリを継続する事が大切だという事です。
これを読んでいただいた「あなた」や「あなたのご家族」が
・体調を崩したり
・怪我をして
リハビリを必要とする状態になった際「退院時リセット」を思い出していただいて「リハビリを継続する」という事を意識していただければと思い紹介させていただきました。
せっかく良くなるために頑張った時間や費用を無駄にしないために
頭の片隅に置いておいてくださいね。
ここまで読んでくださいまして、ありがとうございました。